ワキガ治療の中でもっとも効果の高い方法が、「剪除(せんじょ)法」です。
剪除法を受けると、80~90%の確率でニオイを取り除くことができます。
ここでは、剪除法のメリットやデメリット、剪除法が受けられる病院について詳しくみていくので、ぜひ参考にしてください。
剪除(せんじょ)法とは
剪除法は、ワキガ治療の中でもっとも効果が高い方法です。
治療方法としては、約3~5cm切開して皮膚をひっくり返し、医師が直接目で確認しながらアポクリン腺を取り除いていきます。
病院によっては「反転剪除法」「直視下摘除法」「切開法」「完全摘出法」など、さまざまな呼び方をしますが、治療方法にさほど変わりはありません。
(※名前が似ていますが、「切除法」という手術は、ワキの下の皮膚ごと切除するという方法なので、非常に大きな傷跡が残ってしまいます。)
剪除法は、医師が直接目で確認しながらアポクリン腺を取り除くことができるので、もっとも効果が高く、確実性の高い治療方法です。
病院によっては保険適用される治療なので、金額的な負担も少なく治療を受けることができます。
ただ、身体への負担は大きく、術後3日ほど強い痛みを感じたり、1週間くらい腕を上げることはできません。
また、術後、十分な安静期間をとっていないと再治療が必要になったり、傷跡が大きくなってしまうこともあるので、1週間は安静にする必要があります。
その他、この手術は医師の知識や経験、テクニックによって、再発リスクや仕上がりが大きく左右される治療方法です。
「この先生ならお任せできる!」っと信頼できる病院(医師)かどうか、しっかり見極めてから治療を受けるようにしましょう!
反転剪除法(切開法)は、長期的に見ても、大変効果が高く、重度のわきがに対して確実性の高い方法ではありますが、術後の傷痕など美容面の問題、十分な安静期間など、患者さんへの負担は必ずしも軽くはありません。
診察時に医師と充分に話し合うことが大切です。
また、汗腺を見分ける経験や知識も必要な方法ですので、慎重なクリニック選びが重要になります。
決して金額だけで判断せず、カウンセリング(無料)を利用し、親身になって丁寧にあなたの話を聞いてくれる病院を選ぶようにしましょう。
剪除法のメリット
先ほどもお伝えした通り、剪除法はワキガ治療の中で唯一、医師が直接目で確認しながらアポクリン腺を取り除く治療方法です。
物理的にアポクリン腺がなくなるので、高い確率でワキガを改善することができます。
また、1度取り除いたアポクリン腺は再生しないので、ほぼ再発することはありません。
(※25歳未満の人は、アポクリン腺が成長段階にあるので、再生するおそれがあります。)
なので重度のワキガの人も100%ではありませんが、高い確率でニオイを除去することができます。
その他、アポクリン腺は毛穴と同じ所にあるので、アポクリン腺と一緒に毛根も取り除かれるためワキ毛が薄くなったり、生えにくくなるというメリットがあります。
(女性には嬉しいですよね!)
費用面でも、剪除法はミラドライやビューホットとは違い、病院によっては保険が適用される治療方法なので、3割負担の人であれば3万円代から治療を受けることができますよ。
剪除法のデメリット
効果は高いのですが、やはり身体への負担は大きい治療方法です。
手術中は麻酔が効いているので痛みはありませんが、麻酔が切れると引っ張られる感じや強めの痛みを感じ、術後2~3日はかなり痛む人もいます。
(その場合、鎮痛剤や抗生剤が処方されます。)
また、術後は脇の下を2~3日固定したり、約1週間は腕を上げられない状態が続きます。
固定の方法は病院によって異なり、専用のプロテクターを使って固定したり、タイオーバーといって、ガーゼを直接皮膚に縫い付けて固定する方法があります。
タイオーバーとは・・・ワキは皮膚がよりやすい部位なので、皮膚を剥がした部分に血液が溜まることがあります。
それを放置すると塊(血腫)になって、血行不良を起こしたり、ひどい場合皮膚が壊死することもあります。
そこで、タイオーバーで圧迫固定すると、肩を動かしても皮膚がずれることがないので、確実に止血・血腫予防をすることができます。
どちらにせよ、しっかり固定しなければ傷口が開いたり、合併症にかかったりと、治療期間が長引く可能性があります。
その他、肌質や医師の技量、術後の経過など、さまざまな要因から傷口が色素沈着を起こし、大きく残る場合があります。
あと、剪除法はワキガに高い効果がありますが、エクリン腺を取り除くのは難しいので、多汗症を改善したい人には向いていません。
剪除法が向いている人
- 重度のワキガに悩んでいる人
- 他の治療では効果が見込めない人
- 1度手術をして再発した人
剪除法は、重度のワキガに悩み、高い効果を求めている人に向いています。
ただ、ニオイの感じ方は人それぞれ違います。
自分で重度のワキガだと思っていても、それほど臭っていないというケースもあるので、剪除法があなたに合っているのかどうかは、医師としっかり相談して決める必要があります。
剪除法が向いているかどうかは、医師が判断をして決めるものなんです。
剪除法が向いていない人
- 軽度のワキガの人
- 多汗症(脇汗)に悩んでいる人
- 25歳未満の人
軽度のワキガや多汗症の人は、ミラドライやボトックス注射など、”切らない治療”で十分効果を感じることができるでしょう。
また、アポクリン腺が発達する思春期~20代前半に手術を受けても、手術中に取り残したわずかなアポクリン腺は大きく発達するため、再びニオイが出てきてしまうことがあります。(再発)
剪除法を受けたい場合、25歳以上であればアポクリン腺の発達はほぼ止まっているので、再発のリスクは低くなります。
ただ、何回も言いますが、この手術は医師の技量が大きく左右するので、25歳を過ぎていても、取り残したアポクリン腺があるとニオイは再発してしまいます。
剪除法を受ける場合は、あなたが信頼できる医師と十分話し合い、あなたにとって効果的な治療なのかよく考えた上で治療を受けるようにしましょう。
(※25歳未満で重度のワキガに悩んでいる人は、年齢関係なく切らずに治療できる「ペアドライ」という方法があるので、良ければチェックしてみてくださいね。)
>>ワキガ治療【ペアドライ】効果・費用・副作用・口コミなど
剪除法の流れ
・手術日より前に、カウンセリングや診察、血液検査などをします。
【手術当日】
- 局所麻酔をします。
- シワに合わせて約3~5cm切開します。
- 皮膚をひっくり返して、剥離(はくり※はがすこと)します。
- 専用のはさみでアポクリン腺を取り除きます。
- 皮膚を縫合します。
- 幹部を圧迫固定します。
- 約1週間後、抜糸します。
(抜糸をしなくてもいい病院もあります。)
手術時間は、病院や症状によって異なりますが、90分~120分位です。
剪除法のダウンタイム
術後3日ほど、圧迫固定をします。
それから軽めの固定に変え、経過が良ければ約1週間後に抜糸をします。
抜糸までの間、手を上げることができないので、日常生活がやや不自由かもしれません。
お風呂は翌日から3日程下半身のみシャワー、それから上半身もシャワーを浴びることができますが、ワキを濡らさないように気をつけましょう。
(※傷口が治っていない状態で包帯やガーゼが濡れると、感染症を発症する原因になります。)
1週間後、問題がなければワキも含め、入浴することができます。
また、1週間は安静に過ごし、2~3週間は激しい運動や重い荷物をもつなどの作業はやめておく必要があります。
※病院によって、術後の進め方には違いがあります。
※術後、入院を必要とする病院もありますが、しなくてもいい病院の方が多いように思います。
剪除法の副作用
再発のリスクは少ないといわれていますが、数年後に再発したという人もいます。
また、術後3~5ヵ月は内出血の跡が残り、完全に傷跡が消えるまでに数年かかります。
これは副作用というより、皮膚を切るので仕方のないことですが、術後のケアやトラブルによっては傷跡が悪化することもあります。
せっかく手術を受けても、「傷跡が残った上、ニオイが再発した」というケースもあるので、よく考えてから治療を受けるようにしてください。
その他、口コミなどを見ていると、「術後臭」や「代償性発汗」という言葉をよく見かけると思います。
これらについてもみていきましょう。
術後臭について
手術を終え、アポクリン腺を取り除いたはずなのに、
「またニオイがしてきた」
「今までとは違うニオイがするようになった」
っと、手術後なんらかのニオイがすることを術後臭といいます。
口コミでよく目にする術後臭ですが、1度取り除いたアポクリン腺は再生することがないので、取り除いたはずのアポクリン腺から術後臭がするというのは、科学的に証明されません。
ではなぜ、これだけたくさんの口コミがあるのでしょう?
まず1つに、アポクリン腺の取り残しがあったということです。
何度も言っているように、100%アポクリン腺を取り除くことは極めて難しいのです。
極わずかに残っていたアポクリン腺が発達し、再発したという可能性があります。
次に、今までと違うニオイがするという件に関しては、エクリン腺は取り除くことができないため、エクリン腺から出る汗による体臭を気にしているという場合があります。
(いわゆる汗臭いニオイ、半乾きのようなニオイのことです。)
今までワキガに悩んできた人は、人一倍ニオイに敏感になっていて、自臭症や対人恐怖症傾向にあります。
自臭症とは・・・周りからクサイと思われていると、思い込むことです。
対人恐怖症とは・・・容姿や言動など、自分のある特徴が「他人を不快にさせているかもしれない」と思い込み、そのために人と会うことを恐れてしまうことです。
すると、人間はそもそも無臭の生き物ではないので、エクリン腺からのニオイも気になり、手術をしても「やっぱりニオっている・・・」っとニオイが気になってしまう場合があります。
代償性発汗について
代償性発汗とは、治療をしてワキの汗を抑えた代わりに、他の部位の汗が増えたと感じることです。
しかし、これも医学的な根拠はなく、科学的に説明はされていません。
わきがの反転剪除法後、他の部分の臭いが強くなるということはないですよ。
神経ブロックで上半身全体の汗を抑えると下半身に増える、代償性発汗という事態はあるようですが、体全体の中で腋だけが占める面積は大して広くないので、他の部分の分泌にはまず影響がありません。
”神経ブロックで上半身全体の汗を抑える”っというのは、手掌多汗症に用いられる治療のことです。
もともと汗は、交感神経が「汗を出せ」っと脳に指令を出すことによって出ています。
汗が出る原因になっている交感神経を遮断してしまうと、汗を抑えることができるのです。
この治療は、手の平の汗には非常に高い効果があるのですが、副作用として、代わりに背中や下半身の汗が異常に増えるという「代償性発汗」が出る確率も非常に高くなります。
医学的には神経ブロックによる代償性発汗は認められていますが、汗腺を取り除く治療に関しては、神経に対する治療ではないので、代償性発汗は認められていません。
ただ、口コミを見ていると手掌多汗症の方だけでなく、ワキガ手術、ワキガ治療を受けた方の中にも代償性発汗や術後臭を感じている人がいます。
科学的根拠がなくても、実際に体感している人がいるというのが現実のようです。
それらも含め、治療を受けるべきかどうかは、カウンセリングで専門のカウンセラーや医師とよく話しあってから決めるようにしましょう。
剪除法の費用
剪除法は保険適用される治療なので、病院によっては低価格で受けることができます。
しかし、大手美容クリニックの湘南美容外科や聖心美容外科のほか、高須クリニックや中央クリニックでも保険適用外になっています。
私が思うに、やはり剪除法はそれだけ手間と技術を必要とする治療なんだと思います。
その他、手術は保険が適用されても、診察代やお薬代などの追加料金が必要な所もあります。
剪除法は、医師の知識や技量によって再発リスクや仕上がりが左右されるので、あなたが信頼できる医師がいる病院を選ぶようにしましょう。
ここでは口コミなどを参考に、安心して剪除法が受けられる病院を集めたのでぜひ参考にしてください。
金額 | |
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両ワキ | 36,000円程度 (保険適用3割負担) |
※税込価格
※さくらビューティクリニックは、保険医療指定機関なので保険診療が受けられます。
金額 | |
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両ワキ | 153,090円 |
※税込価格
※湘南美容外科では保険は適用されていません。
※においが再発した場合、5年以内であれば、1回再施術をしてくれます。
金額 | |
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両ワキ | 400,000円 |
片方 | 240,000円 |
※税抜価格
※聖心美容クリニックでは保険は適用されていません。
※医師が診て、手術の効果が薄れてきたと感じる場合は、1年以内であれば再手術をしてくれます。
聖心美容クリニックは、医師が時間をかけてカウンセリングから術後ケアまでしっかりサポートしてくれます。
その証拠に2017年現在、大手クリニックでは唯一「ISO」を取得しています。
ISO(国際標準化機構)とは・・・ISOは、「世界中で同じ品質、同じレベルのものを提供できるようにしましょう」という国際的な基準を制定しています。
例えば、非常口のマークやカードのサイズ、ネジがISO規格の一例です。
聖心美容外科は「高品質」を保つために、ISO規格に基づき、管理を厳しく行っています。
剪除法の口コミ
思春期から脇の臭いと汗に悩み、周りの目が気になっていたので手術を受けることにしました。
麻酔が痛く、術後もかなり痛みましたが、5日目位から痛みはなくなりました。
抜糸後、傷口に塗り薬を塗り、軽いストレッチやマッサージをした方が綺麗に治りやすいとのことで行っていると、きれいに傷口が閉じました。
臭いと汗についても、今のところ気になりません!
思い切って手術をしてよかったです。
手術する前は、お金の事やその後の生活の事が心配でしたが、スタッフの方が相談にのってくれて、無理なく手術ができました。
傷が目立たなくなるまでまだまだかかるとは思いますが、汗を気にしなくてもいい生活が楽しみです。
若い時からニオイがバレないか気にしながら生活してきましたが、更年期に差しかかり、汗の量が増えたので手術を決意しました。
術後、脇を圧迫しての生活はとても不自由で、年齢のせいもあるのか1ヶ月経っても日常生活を送れる状態ではありませんでした。
ただ、ニオイは気にならないので、手術は受けて良かったです。
剪除法の手術を受け、術後臭に悩んでいます。
手術をした人全員がなる訳ではないと思いますが、私の場合、かなり重度で、頭からもニオイがするようになりました。
せっかく手術をしたのに、このままでは悩みすぎて辛いです。
術後臭に悩んでいます。
脇の臭いは軽くなりましたが、他のアポクリン腺がある所が異常に臭くなりました。
異臭、獣臭、生ゴミ臭、手術前以上に臭いのことが気になって人と接近するのが怖いです。
まとめ
剪除法は、ワキガ治療の中で最も効果が高い治療方法です。
今までニオイに悩み続けてきた人にとっては、1番効果を感じられる治療でしょう。
ただ、やはり身体への負担が大きかったり、再発のリスクがあることを頭に入れておく必要があります。
何度も言いますが、病院を選ぶ時は決して金額で判断せず、あなたの悩みや相談を親身になって聞いてくれる病院を選ぶようにしてくださいね。